HAGANEYA(@imech_jp)です。

1986年リリース。純度120%な正統派メタル作品として全世界のメタルファンを震撼させたであろう前作『Defenders of the Faith』および前々作『Screaming for Vengeance』ですが、本作はそれらの流れから一旦離脱し『British Steel』の頃に先祖がえりしたかのようなハードロック要素強めの作風となっています。

本作が過去のハードロック寄りの作品と決定的に異なるのは “ギターシンセ” を採用したことによって、近未来的な雰囲気を演出しているという点です。

1986年は、なぜかこの “SF” “近未来” “サイバー” をモチーフとしたメタル作品が複数リリースされています。本作の他にも Queensryche の『Rage for Order(邦題:炎の伝説)』や Iron Maiden の『Somewhere in Time』などが有名ですが・・・なぜこの年に集中したのでしょうか。前年に公開された『バック・トゥ・ザ・フューチャー』辺りからの影響?

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良い意味で “引き立て役がいない” 作品

ちなみに前述の2作品は両方持っていますが、聴きやすさ・取っ掛かりの良さで言えば『Turbo』が頭一つ抜けていると言い切っても良いでしょう(次点でRage for Order)。わかりやすく “商業的” と言えるポップな作風であり、ゆえに従来のファンの一部から “魂を売った” 的な評価をされてしまった不遇の作品です。

後に北米版グランツーリスモ3で採用される #1『Turbo Lover』、Sin After Sin時代のブリティッシュ・ロック・サウンドをビルドアップしたかのような #2『Locked In』、スタジアム・ロック的なダイナミックなサウンドを堪能できる #3『Private Property』、80’s USA を思わせるレトロフューチャー感が面白い #4『Parental Guidance』、本作最大のスピード・チューン #5『Rock You All Around the World』、”SF映画のBGM” っぽい長尺のイントロからの重厚なミドル・チューンが想像力を刺激する #6『Out in the Cold』、アメリカン・ロックなテイストのサウンドにシンセが絡む #7『Wild Night’s Hot & Crazy Days』、次作以降(Ram it DownPainkiller)のヘヴィな音楽性がチラッと顔を覗かせる #8『Hot for Love』、シンセ控えめな本来のJudasサウンドで幕を閉じる #9『Reckless』。

スピード・チューンもありますが、基本的にはミドルテンポの楽曲で構成されている本作。過去作では若干ダレ気味というか・・・目立つ曲に隠れてしまいがちなミドル・チューンでしたが、ギターシンセを導入した本作は全ての楽曲が主役級の存在感を放っています。良い意味で “引き立て役がいない” 作品といった感じです。

 

当時は “問題作” 扱いだったけど、時を経て “名作” に昇格

Judas Priest の偉大なディスコグラフィを振り返ってみても、シンセ・サウンドをこれほど全面に押し出しているのは本作が唯一かもしれません。2008年リリースの『Nostradamus』もシンセサイザーを大々的にフィーチャーしていますが、こちらはフィメール・ゴシック・メタル系バンドのような荘厳な雰囲気に近く、どちらかと言えば “脇役” 的な使い方なので、シンセ感はあまり気にならなかったりします(そして、Nostradamusも案の定 “問題作” 扱いされがちという・・・)。

ちなみに、あまり共感されないかもしれませんが、私の好きな Judas Priest 3大作品は『Turbo』『Point of Entry(邦題:黄金のスペクトル)』『Sin After Sin(邦題:背信の門)』です。ブリティッシュ・ロック 〜 ハードロック期の “やや渇いた” サウンドが好きなので、本作の評価もだいぶ甘めになっています。

だからと言って、本作が駄作だというわけではありません。Amazonカスタマーのレビューでも「再評価すべき」とか「問題作ではない」といったポジティブな意見が多いですし、そもそも「平均 “星4.5” の評価をされている」というのが答えです。

正直、この作品は大好きなので “最初の1枚” として個人的にオススメしても良いのですが、「Judas Priestの “代表作” は?」という基準で選ぶのであれば『Screaming for Vengeance』か『Painkiller』を薦めざるを得ない、といったところです。

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